世界と日本のメタバースの市場規模・成長性

メタバース

世界全体のメタバースの市場規模・成長性

メタバース市場の将来予測

メタバースの市場規模と成長性は様々な機関で分析・予測されています。こちらはPrecedence Researchが公開している20233月のレポートの数値です。

1ドル=130円とすると、2022 年に 8.9兆円2025年で23.8兆円、そして2030 年までに約170兆円にのぼるとの予測です(CAGR は 44.5%)

なお、別のレポートを見てみても2030年には1655億Billionドル(約21.5兆円)に達すると記載があり、かなりの期待が寄せられていると見て取れます。

ただ、これだけの情報では、数字の信憑性もあったものではないため、引用元のレポートを読み込んで、もう少し情報を補足していきたいと思います。

メタバース市場の内訳

そもそもメタバース市場とは何なのか。市場を構成する要素の内訳の情報がありました(単位は全て10億米ドル)

Precedence Researchのレポートによるとメタバース市場は以下の4つの要素で構成されており、それらすべてが40%以上のCAGRで成長すると想定しているようです。およそ他のレポートも近しい割合や予測を示していることが確認できました。それぞれの要素についての意味合いを各レポートを参照し整理した結果が以下です(アセット市場と金融サービスは境界が曖昧なためまとめています)

  • プラットフォーム
    • ユーザーがアバターを通じてインタラクションできる仮想空間
  • アバター
    • ユーザーがメタバースのプラットフォームを超えて利用できるアバターと、アバターに着せることができるデジタル衣装など
  • アセット市場・金融サービス
    • ユーザーが仮想空間でアイテム、土地、財産、絵画などの資産を売買し、所有すること。仮想通貨やNFTにより実現する仮想経済

デジタルアセットについて、具体例をもう少し踏み込んで探してみると、以下のような例がありました。現実世界の資産を思い描くと、これら以外にも車や家具・家電など、様々な可能性がありそうです。

  • デジタルアート
  • ファッションアイテム
  • ゲーム内アイテム
  • バーチャル不動産(土地、家)
  • バーチャルコンサートやスポーツイベント等のチケット
  • メダル

これらの一部は、NFT(Non-Fungible Token)と呼ばれるデジタルアセットの所有権を証明する技術を利用して取引されると考えられています。

ハードウェア/ソフトウェア市場の位置付け

メタバース市場は、AR/VRヘッドセットやディスプレイのハードウェア市場、およびUnreal Engine やUnityのソフトウェア市場、それぞれと密接に影響しあっているとされていますが、メタバース市場規模の数字の中には、ハードウェアやソフトウェアの数字は含まれていません。

ハードウェア市場の2030年までのCAGRは44.2%、ソフトウェア市場は45.3%となっています。市場規模の数字には含まれていないものの、これらの関連する市場も期待通りに成長しなければ上記の数値を達成することは難しいことが推測できます。

広告市場の位置付け

また、メタバースの活用事例として容易に思い付くことができるのが、自社製品の広告やマーケティングをメタバース上で行うことであり、メタバース市場の拡大に伴い広告市場も拡大していくことが予想されますが、広告市場の数字もメタバース市場の数字には含まれていないようです。

メタバース内に設置された看板や広告ボード、スポンサー付きのイベント、ブランドロゴを使用したアイテムなど、様々な形で広告を行ったり、また、メタバース内のユーザー行動やデータを分析することで、ターゲット広告を配信することも可能になると考えられますが、これらはメタバースの市場規模とは効果の観点で相関はあると思われるものの、数字上の関係はないため要注意です。

日本における市場規模・成長性

メタバース市場における日本のシェア

2021年時点のメタバース市場における地域ごとのシェアは以下の通りで、日本のシェアはまだ小さく、元のレポートでは日本のみの成長予測は確認できませんでした。

  • 北米:46%
  • ヨーロッパ:20%
  • アジア太平洋地域:16%
  • 南米・中東・アフリカ:18%

日本のメタバースの市場予測

一方で、矢野経済研究所の「メタバースの国内市場動向調査を実施(2022年)」には、2026年までですが日本の将来予測が掲載されています。

本レポートによると2022年時点では1800億円の市場規模が、2026年には1兆円を超えると予測されています。

ただし、本予測値にはメタバースのプラットフォーム、プラットフォーム以外(コンテンツ、インフラ等)の市場に加え、VR/AR機器の数値(販売価格ベース)も含まれているとのことですので注意が必要です。※日本のAR/VRヘッドセットの出荷台数は本記事によると2022年で34万台(ARヘッドセット4万台、VRヘッドセット30万台)

成長理由としては以下のように書かれており、前述の分析とは重複する部分はあるものの、例えばデジタルアセットなどについては触れられておらず、視点が異なるよう見受けられます(レポートを購入して詳細を確認すると言及されているのかもしれませんが。。)

仮想空間を利用したオンラインイベント(展示会やセミナー等)やシミュレーション、教育・トレーニング、インターネット通販での接客やショッピング体験など、様々な産業分野において活用が拡大し、さらにハードウェアと技術の進展により消費者向け市場にも広く普及するとみられることから、2026年度には市場規模が1兆円を超えるものと予測する。

https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3068

以上、市場規模感や成長率は分かったものの、なぜメタバース市場が今後、成長していくと考えられているのか。ユーザーや企業はメタバース市場で何を求めていて、何を行っているのか…など、まったくメタバースの実態が見えてきませんね。今後、メタバースを体系的に理解すべく、随時、情報をまとめて行きたいと思います。

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